広告オントロジー

広告素材の管理で最新版と利用条件を見失わない方法

SynClip 編集部公開 更新

広告素材の管理で、最新版・承認済み・入稿済みを分け、素材IDと親素材ID、利用条件から渡す版を決める方法を架空の記入例で説明します。入稿済みのA02は上書きせず、改稿したA04を別IDで残す更新記録と、利用条件を確認していない素材を渡さないための照合方法もまとめ、記入ガイドを配布します。

広告素材の管理で最新版と利用条件を見失わない方法の表紙

広告素材の管理では、ファイルの新しさではなく、素材IDごとの状態と利用条件の記録から渡す版を決めます。たとえば正方形のA02が承認済みで入稿済みなら、後から改稿したA04は別IDの未採用候補として残します。承認待ちの縦長A03は、利用条件の確認が終わるまで配信先へ渡しません。

広告素材の管理は版と状態を分けること

広告素材の管理で最初に分けたいのは、ファイルが新しいかどうかと、業務で使ってよい状態かどうかです。新しく作られた素材でも、確認担当が承認していなければ配信先へ渡す素材にはなりません。反対に、さらに新しい案が後から生まれても、すでに承認され入稿された版は過去配信版として残す対象になります。

最新版と承認済みの違い

最新版は、作成日時や更新順で見たときに最も新しい広告素材です。承認済みは、確認担当が使ってよいと判断した状態です。入稿済みは、媒体や制作先などの相手へ渡した状態で、最新版や承認済みとは別に扱います。

Adobe Experience Manager Assetsでは、デジタルファイルを一元管理し、アップロード、整理、編集、版管理、公開までを扱うDAMの例が示されています。(Adobe Experience Manager Assets(公式))版管理は変更を追い、前の状態へ戻すための製品機能の一例として参考にできます。ただし、広告素材の受け渡しでは、製品機能の有無よりも、最新版、承認済み、入稿済みを同じ言葉で混ぜないことが重要です。

素材の状態を分ける表

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状態意味渡せる相手注意
最新版いちばん新しい案制作担当内承認済みとは限らない
承認済み確認担当が使えると判断制作先や社内確認者利用条件は別に見る
入稿済み配信先へ渡した版媒体や運用担当後から置換しない
過去配信版以前に使った版参照する担当者削除せず履歴に残す

原本と派生版の見分け方

原本は、別の素材を作る起点になる素材です。派生版は、原本や既存の素材から比率、文言、背景、配置などを変えて作った素材です。採用版は、その派生版の中で使う判断がされた素材で、入稿版は実際に相手へ渡した素材です。

編集部の管理例では、原本P01のロゴ、B01の生成背景、C01のコピーから横長A01を作ります。A01を起点に、正方形A02と縦長A03へ派生させます。この例は公開中のSynClipインパクトトライアルの広告制作を想定した管理例で、実際に広告配信した事例ではありません。

この流れで新しいA04を作っても、A04が自動的に配信先へ渡す版になるわけではありません。A02が承認済みで、すでに配信先へ渡した版なら、相手に渡す基準はA02の状態を優先します。新しさだけで差し替えると、承認された素材と配信先が受け取った素材の関係が切れてしまいます。入稿済みのファイルは置換せず、差し替えは新しいIDの版として作ります。渡した版は削除や上書きをせず、過去配信版として参照できる状態で残します。どの媒体へいつ渡した素材かを後から説明するためです。

原本から派生版へ進む関係
原本のロゴ、背景、コピーから横長版を作り、正方形版と縦長版へ派生する流れとして読みます。

来歴を残すという考え方

来歴とは、素材が何から作られ、どの作業を経て、誰の確認に関わったかをたどれる記録です。W3C PROV-Oでは、出所に関わる対象、一定期間に起きる活動、責任を持つ主体を分けて表す考え方が示されています。(W3C PROV-O(公式))この考え方は、広告素材そのもの、作成や変換の作業、確認担当を一つのメモに混ぜないための参照として使えます。

広告素材の管理では、素材をロゴや背景やコピーなどの対象、活動を作成や比率変更などの作業、担当者を作成や確認を担う人として整理できます。素材の名前だけでは追えなかった「誰が何をもとに変えたか」を、三つの関係で記録する設計です。

広告素材の管理表は二つに分ける

広告素材の管理表は、素材そのものを追う表と、使ってよい範囲を確認する表に分けると扱いやすくなります。素材IDは広告素材を一つずつ識別する短い記号で、親素材IDはその素材がどの原本や派生元から作られたかを示す記号です。この記事の基本表では、親素材IDを由来と版の欄に書きます。利用範囲は、媒体、期間、地域、改変、第三者素材の有無など、素材を使う前に確認する条件のまとまりです。

素材の表と条件の表を素材IDでつなぐ
基本表で素材の由来と状態を見て、利用条件表で使える範囲を確認します。

基本表に残す四つの列

基本表は、素材ID、由来と版、状態、確認担当の四つに絞ります。列を増やして媒体、期限、権利、入稿先まで同じ表へ入れると、A01からA04のように派生が増えた時に、どの列を見れば渡す版が分かるのかが曖昧になります。

確認担当は、素材を作った人の署名ではなく、その状態を説明できる人を置く欄です。承認済み、入稿済み、未採用、過去配信版を同じ言葉で残すと、担当者が変わっても、どの素材を渡してよいかを状態から判断できます。

広告素材の基本表(架空の記入例)

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素材ID由来と版種類と状態確認担当
P01正式配布ロゴの原本原本ブランド確認者
B01生成背景の原本原本制作確認者
C01コピーの原本原本訴求確認者
A01P01 B01 C01から横長制作版制作確認者
A02A01から正方形承認済み 入稿済み配信確認者
A03A01から縦長承認待ち媒体確認者
A04A02を差し替え候補に改稿未採用制作確認者

利用条件は別表にする

利用条件は基本表へ押し込まず、素材IDでつながる別表にします。同じA02でも、媒体、期間、地域、改変、第三者素材の有無は、素材の由来や状態とは別の確認です。基本表が素材の同一性を追う表なら、利用条件表は使う前の確認を止める表です。

利用条件表では、具体的な契約上の権利や許諾を本文上で断定せず、根拠資料と見直す日を残します。素材の種類がロゴ、背景、コピーで違えば、確認すべき資料も変わります。ロゴの実物を載せる場合は正式配布原本を使い、第三者素材を含む可能性がある背景やコピーは、使える範囲を別に確認します。

広告業務では、商品事実、訴求、素材、台本、配信結果、修正理由を結び、AIに任せる広告業務の根拠を保つ考え方が使われます。(SynClip 広告オントロジー)素材管理でも、素材の状態だけでなく、どの根拠資料を見て利用範囲を判断したかを残すと、後から同じ素材を別媒体へ持ち出す時に確認先を戻せます。

利用条件の確認表(架空の記入例)

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素材ID確認する利用範囲根拠資料見直す日
P01媒体 地域 改変正式配布ロゴ資料ロゴ更新時
B01媒体 期間 第三者素材背景素材の確認記録配信前
C01媒体 地域 表現範囲コピー根拠資料資料更新時
A02媒体 期間 改変入稿前の承認記録差し替え時
A03媒体 表示面 改変縦長版の確認記録入稿前
A04採用前に再確認差し替え候補の確認記録承認時

広告素材を渡す時に迷わない小さな台帳

小さな台帳では、素材ID、媒体、入稿日、採用可否を並べます。制作中の新案と配信先へ渡した版を、同じ最新版として扱わないための表です。

派生版を配信先ごとに管理する

横長A01から展開した正方形A02と縦長A03は、同じ広告案でも別々に承認と入稿を管理します。比率変更でコピーが切れたり注記が読めなくなったりする可能性があるため、派生元の承認をそのまま引き継がず、配信面ごとの確認担当を置きます。

配信先へ渡した版を選ぶ

採用可否とは、制作候補の中から配信先へ渡してよい版として判断された状態です。次の表では、新案のA04が未採用のため、正方形の配信先にはA02が残ります。

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素材ID媒体・配信面入稿日採用可否
A02正方形配信面確認済みの日付採用 渡す版
A03縦長配信面未入稿承認待ち 渡さない
A04正方形配信面未入稿未採用 新案

渡す版を選ぶ表(架空の記入例)

この入稿台帳は編集部の架空の記入例で、基本表や利用条件の確認表と同じ時点の状態を示しています。A03は縦長版の承認と利用条件の確認が終わっていないため、未入稿のまま配信先へ渡しません。実際の制作や入稿の記録ではありません。運用時は承認者と入稿日も記録します。

版の更新記録を残す

入稿済みのA02を直したくなった時は、A02のファイルを上書きせず、改稿をA04という別IDの新候補として作ります。こうするとA02は配信先が受け取った版のまま残り、A04は承認と利用条件の確認が終わるまで未採用として並べておけます。次の表は、上の三つの表と同じ時点の架空の記入例です。

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記録素材ID親素材ID変更内容利用条件の確認状態確認担当
1A02A01正方形へ比率を変更し承認後に入稿確認済み承認済み 入稿済み配信確認者
2A03A01縦長へ比率を変更確認中承認待ち 渡さない媒体確認者
3A04A02A02を上書きせず差し替え候補として改稿未確認未採用 新候補制作確認者

利用条件の確認欄が確認中や空欄の素材は、制作上の確認を終えていても承認済みとは書きません。A03のように承認待ちの素材は、渡す版の表でも渡さないとし、根拠資料と確認日がそろってから状態を更新します。A04を採用する場合も、承認する時点で利用条件をあらためて確認し、A02は削除せずに過去配信版へ移します。

記入ガイドには、この更新記録と同じ列の記入例と空欄の記入欄をまとめています。基本表、利用条件の確認表と同じ素材IDで更新記録を書き、渡す前に三つの表の状態が一致しているかを照合してください。

この記事の記入例と空欄版を使う

修正指示との境界

素材台帳で扱う対象は、ファイルの同一性、派生関係、採用履歴です。動画の直し方そのものは、対象時刻、変更内容、理由、根拠、適用範囲を残す修正指示の管理に分けると、素材の版選びと制作判断が混ざりにくくなります。(SynClip 動画の修正指示)なぜ表現を直したか、どの条件なら次回も使えるかは、そちらで扱います。

広告運用の引き継ぎでも、数字、条件、解釈を分けて残すと、次の担当者が前回の結論をそのままコピーせずに条件を確認できます。(SynClip 広告運用ナレッジ共有)広告素材の受け渡しでも同じように、媒体、入稿日、採用可否を分けることで、過去に渡した版と新しい制作案を取り違えにくくなります。

修正指示と判断理由を次の制作へ残す方法 関連記事を読む

広告素材の管理を始める確認項目

受け渡しの文は、フォルダの場所だけで終わらせず、判断に必要な情報まで含めます。たとえば「配信先へ渡す素材はA02です。A04は新しく作った案ですが未採用のため、A02の状態と根拠資料を確認してから使ってください」と書くと、受け取る側は最新版らしさではなく採用された版を選べます。

利用条件で見る項目

第三者素材がある場合は、出所、使える範囲、確認者へ回す理由を分けます。動画の修正指示に関するSynClipの整理でも、素材の出所、利用条件の参照先、確認状態、判断を依頼する担当を残し、画面上の修正指示と権利確認を別の項目で管理する考え方が示されています。(SynClip 動画の修正指示)広告素材の管理では、この考え方を素材台帳へ移し、制作上の差し替えと利用条件の確認を混ぜないようにします。

小さく始めて広げる範囲

まずスプレッドシートで小さく始め、受け渡し先が必要な情報を見つけられるか確かめます。素材数や承認経路が増え、手作業では追いにくくなった段階で、管理ツールや個社向けの開発を比較します。

配信先へ渡す動画の納品仕様 関連記事を読む

自社の業務で試す

広告素材の版と利用条件を確認する流れはインパクトトライアル(最短1ヶ月のスピード検証)で検証する対象として相談できます。自社の広告素材や管理表を使った試作を毎週更新し、合意した指標で変化を確かめます。

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参考情報

  1. Adobe Experience Manager asset versioning
  2. W3C PROV-O
  3. SynClip ad-ontology
  4. SynClip creative-feedback-knowledge
  5. SynClip advertising-knowledge-sharing
  6. SynClip インパクトトライアル
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